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2012年4月 5日 (木)

桜の季節の不安を吹っ飛ばすSweet Thunderな日

Sweet_thunder また桜の季節がやってきた。花なんてほとんど興味はないけれど、桜だけはどうしても目に入ってくる。単純に植えられている数が多いこともあるだろうが日本人の深層心理に刷り込まれているというか…。幼稚園の入学式から大学の卒業式まで自分の人生の岐路にはいつもあのピンク色の花が咲いていたような気がする。実際そうでなくてもそんな気がするのはそう刷り込まれているからなのではないだろうか。でも、頭の中を支配するそんなおぼろげで蜃気楼のような桜の中で実体としてはっきりと思い出すものがひとつだけある。 名所と呼ばれるようなところのものではなく、近所の空き地にあった。そこは都内の小さな一軒家が建つくらいの大きさで、背が低くて頭がでかい桜が一本生えていた。春になると花が空き地を埋め尽くし、道路まではみ出るくらいだった。初めて見た時は、その狭い空間を埋め尽くすさまに圧倒された。それを見つけた年から春になるとそこの脇を通ってその桜を眺めた。Sakura_6 止まってみるようなことはなかったけれど、毎回「やっぱ、こいつはすごいな」と思っていたことは確かだ。数年前、また春になったのでそれを楽しみにいつもとは違う帰り道を通り、今年もあいつを眺めておくことにした。が、着いてみるとそこにはピンク色のふてぶてしいまでにでかい塊はなく、本当にちっぽけなただの空き地になっていた。空き地の真ん中には切り株があった。そして数ヶ月後には駐車場になり、切り株もなくなっていた。なんか寂しいようなむなしいような気持ちになったことを覚えている。自分にとっての春は、なぜか少し不安な気持ちになることがある。なんだかよく分からないけどそう思う。それこそぼんやりとした不安か…。実体のある桜はなくなって、残ったのはおぼろげな桜にぼんやりとした不安。春は自分にとって向いてないのかもしれない。。。なーんてちょっと物思いにふけった文学青年風に書いてみたけど、いい音楽があるとそんなこともどうでもよくなるもんなんだよね。そこが自分のいいとこだったり♪そんな感じで、本日は春の処方箋Sweet Thunderの「Horizon」をご紹介。

79年、WMOTレーベル発。後にソロでも活躍するBooker Newberryを擁した白黒混合4人組ヴォーカル&インストグループによる作品。アルバムは3枚残しているが本作が最終作となる。彼らのアルバムは1STはまあまあといったところだが、指からビームジャケの2NDはそのジャケのクオリティに反し完成度は高い。特に"Baby I Need Your Love Today "を筆頭としたメロウな楽曲はすこぶる快調だ。それでも、迷いつつこちらを紹介したのには訳がある。それはミラクルな一曲を収録しているからに他ならない。その一曲とは、A面ラストを飾る"I Leave You Stronger"。コーラスグループのバラードといったスウィートでスロウな展開でスタートするも、曲の中盤で一気に転調しパーカッションが入ったアップナンバーへに早変わり。これがまさしくこみ上げ系とでもいうべき一曲で、フリーソウルファンも必聴のメロウモダンダンサーなのだ。パーカッシブなビートの上に響くホーン、殻を割ったように躍動するBooker Newberryのヴォーカルと完璧だ。この曲は、まさしくちゃんと聴いていないと得られないご褒美とでも言うべき存在。実際、僕がレコ屋で店頭に立っているときにこの盤を試聴したお客さんがいて、少し聴いてからキャンセルした。そこで、キャンセルされたレコードを取り出し店頭でこの曲をかけていると、転調してからちょっとしたところでさっきキャンセルしたお客さんが戻ってきて、「やっぱ、これ買います」と恥ずかしそうに言って買っていった。こういうときにレコ屋をやっててよかったなと思う。自分の知識を生かして、商品を売ることができ、お客さんも満足するからだ。しかし、この場面ではこの曲がそれだけのパワーを秘めているという証拠も示したと思う。やはり素晴らしい一曲であることが再確認できた。他収録曲は、スロウに佳曲はあるものの取り立てて述べるようなところはない。アルバムとしての完成度は2ndの方が高いと言ってしまってもいいかもしれない。しかし、"I Leave You Stronger"、この曲だけは忘れずに最後まで聴いていただきたい。そうすれば、このアルバムを買わないわけにはいかないはずだから。

2011年9月29日 (木)

アーセナルを愛しながら、Hugh Masekelaな日

Hugh_masekela_6 またまた、久しぶりの更新を。やめたのか…と思わせつつまだやってますよと。最近は部屋の整理をしていて、奥地から発掘された埃まみれのレコ箱に入っていたヒップホップレコードを70枚近く、さらに奥地にあった漫画やら雑誌やら本やらを200冊くらい処分いたしました。ヒップホップは基本的にはCDで聴いてるから、まあいっかなと(好きなのはレコでもとってあります)。それにしてもこれだけの量処分しても1万円ちょっとにしかならないんだから哀しいね…。まあでも、雑誌とか散乱してたし、と部屋が少し片付いたことをポジティブに捉えまひょ。雑誌といえば、定期的に購入しているものは音楽系ではWax Poetics Japan」と「Groove」くらいか。それよりも熱を入れて買っているのが、サッカー雑誌!Footballista_2 特に「Footballista」は海外サッカーの最新情報が週刊で捉えられるので、愛読している。「ウイニングイレブン」から海外サッカーに興味を持ち始め、1年前くらいから本格的に見ているだろうか。愛するアーセナルの試合は9割方リアルタイム観戦しております!昨日も1時に寝て3時半に起きるという強行軍で、チャンピオンズリーグを見ちゃったもんね♪これが今日みたいに休みだと昼まで寝てられっからいいんだけど、仕事ある日はツライっす。でも、グーナーだからしゃーないんです。応援しているチームがあるとやっぱり段違いに楽しいもの。そのかわりチームが負けるとむしゃくしゃしたり、眠れなくなったりするのでご注意を(笑)。さてさてそんな感じで本日も本業の音楽から、Hugh Masekelaの「The Boy's Doin' It」をご紹介。

南アフリカ出身のホーン奏者Hugh Masekelaが75年Casablancaから発表したアルバム。南アフリカ出身ではありつつも、活動の主だった部分はアメリカで行っており、アフロ感覚を取り入れたジャズを演奏しているという印象が強い。Fela Kutiがアフリカ音楽にファンクやジャズの要素を入れてアフロビートを作り上げたのとは逆のアプローチで音楽を制作しているところが非常に興味深い。さらに本作では、ナイジェリアのラゴスで録音を行っており、ジャケ裏には"Dedicated To Fela Ransome-Kuti"という表記まで確認できる。当時、精力的に活動し名作を連発していたFela Kutiの音楽からの影響は、ホーンのフレーズやパーカッシブなビート、コーラスの掛け声など端々で散見される。しかし、アフロビートそのものを再現してるわけではなく、その音楽性をジャズに落とし込んでいるという印象が強く、ジャズファンク、アフロ、フュージョンなど多用な要素が交じり合った音は非常に面白い。幕開けを飾る"The Boy's Doin' It"はアフロジャズファンクといった様相の一曲で、強烈なベースとパーカッシブなビート、浮遊感のあるホーン、呪術的掛け声が渾然一体となったダンスチューン。続く、"Mama"はヴォーカルも乗っており、アフロソウルといった趣が強い。"Excuse Me Please"はアフロポップ的で陽気なメロディも出てくる楽曲で個人的にはイマイチ…。B面頭の"Ashiko"はタイトルからも分かるとおりアフロ色濃厚な楽曲で、アフロビートが再現される展開はまさにFela Kuti直系といえる内容になっている。"In The Jungle"ではやはりアフロファンク~ソウルといったUS meets Afroな音楽性が全開に。ラストを飾る"A Pearson Is A Something"は、Lonnie Liston Smithの楽曲かと間違うようなメロウでいてスピリチュアルな雰囲気が漂うフュージョン。しかし、ここでもHugh Masekelaが吹くホーンはFela Kutiが奏でるようなフレーズを意識しており本作で目指す方向性にブレはない。"Excuse Me Please"以外の楽曲は総じてレベルが高く、アルバムとしても完成度の高い作品に仕上がっていると思う。

"The Boy's Doin' It"⇒http://www.youtube.com/watch?v=af2mqLoR9UE
"Mama"⇒http://www.youtube.com/watch?v=rYiTfz6CAC0

2011年5月 4日 (水)

地震と猟盤とInfinityな日

Infinity 地震から一ヶ月以上経ちました。久しぶりの更新です。あの時は、仕事中だったのですが、生まれて初めて経験する大きな揺れに正直びっくりしました。でも、内心どこかで、「大丈夫だろ」という考えが働くところが人間の恐いところ。周りのCDやレコードを押さえるという行動をとったのみで、外に一目散に逃げるといったことをしなかったのは今考えるとよりよい判断を下していなかったのではないかなと思ったり(それで死んだらやだもんね…)。でも、自分の行動より興味深いのがお客さんの行動。一目散に外に出た人もいたけど、そのままレコードを掘り続けている人も結構いました。さらに地震が一度収まって、お客さんを外に誘導しようとしたら、どうしても買いたいっていう方が何人かいて、やっぱりすごいなと。その人々のディグの執念こそ、まだまだ中古レコード業界が捨てたもんじゃないっていうとこなんではないのかなと。びょうきですよ、みんな(褒め言葉ですのであしからず)。そういえばRyoubannikkiこの前、戸川昌士の「猟盤日記」を読んでいたら、最後の方に「コレクターと阪神大震災」っていう特集があって笑いながら読んでしまった。やっぱり15年前からレコ好きはちっとも進歩してないなぁと。結局、あほなんですよ、みんな(こちらも褒め言葉ですのであしからず)。この本の他の部分を読んでいてもつくづくそう思います。みんな思考回路が似ていて、どうやってレアなもんを掘り出して自分のものにしてやるかっていう行為のループです。 大人になっても宝探しがやめられないんだよなぁ。みんなワンピースよりよっぽど海賊王なおっさん達です(読んだことないけど)。ちなみに自宅では、ターンテーブルが二台床に落ちていて青くなったけど、全然プレイ可でした(ありがとう、Technics!)。ターンテーブルに乗っていた500円のレコが破損したのとCDケースが少々割れたのみという極小の被害状況で安心しました。家に帰る前は、あれが割れてたら引くなぁと思っていたレコは全部無事でなにより。今日はそんな割れて欲しくなかったレコの中から、Infinityの「Spread The Word」をご紹介。

84年発表のアルバム。カリフォルニアはハリウッドの小レーベルMessage Recordsに残されたマイナーゴスペル作品。最近、何か面白いものはないかなと安く売っているゴスペル作品でピンときたものを重点的に買っている。だいたいハズレなんだけど、これの内容はピカ一で、モダンソウルが好きな人には直球ど真ん中な作品だと思う。ゴスペルはやっぱりクワイアとかのあの感じになっちゃうとちょっと厳しいんだけど、少人数編成のグループなんかだとGOOD!特に楽器演奏者なんかのクレジットがあったりすると、さらにいい気がする。それでも難しいのは、リードがバリバリのバリトンヴォイスだったりする時だけど、これはテナーとコーラスが中心で歌もかなりいいときているんだよね♪音的には80年代前半のまさしくアーバンメロウといったサウンドで、それが当時のメジャーでのソリッドなサウンドにならずまろやかな生演奏で再現されているところが素晴らしい。特にメンバーのRodney Bellというヴォーカル兼キーボード奏者の書く曲がよく、彼によるソングライティングである"Peace And Harmony"、"Tell The World About It"の2曲は絶品だ。前者はメロウなサウンドに柔らかいテナーのリード、甘いコーラスが乗る極上ミディアムモダンソウル。後者は爽やかなカッティングギターから始まりピアノとサックスが絡んでアーバンな雰囲気を醸し出すミディアムダンサー。それに続くのは、"Peace And Harmony"をRodney Bellと共作するLeonard Lothlenがペンを握る"All The Way With The Lord"。こちらもメロウなミディアムモダンソウルで、リードとコーラスの絡みが絶品!隠し味に使われているパーカッションも絶妙です。その他の曲は味わい深いスロウありちょっとキツイなっていうものも若干ありますが、それでも全体の完成度からいうと同年代の普通のソウルを見渡してもこれだけのものは数えるほどではと思えてしまうほど。レアリティも結構高く、海外オークションでは$100オーバーで取引されている模様。でも、この内容知っててもってなかったら、$100出しちゃうかも…。これは全ソウルファンにオススメしたい逸品です!

海外amazonサイトでmp3で販売されているようです(しかも全曲試聴できる!)⇒ http://www.amazon.com/Spread-The-Word/dp/B000R031KY

2011年2月25日 (金)

将来どうなんのかなとか考えつつ、Carol Lloydな日

Carol_lloyd ここ数年、レコード屋がその数をどんどん減らしている。僕の大好きな街のレコ屋から専門店、さらにはチェーン店の一部店舗まで。不況という状況下で客が店舗に落とす金は減り、ネット上の店舗やネットオークションなど実店舗ではない購入方法も多様化してきている(とはいえ、ネットも今は厳しい…)。ついこの前も僕が高校生の頃から通っていた吉祥寺のバナナレコードが潰れた。全ジャンル扱う店ながらも、スタッフの趣味趣向が現れていて好きな店だったのだが…。レア盤も時々入ってきてはいたけれど、やはり回転が悪く、買取がそう伸びていなかったのかもしれない。僕もレコ屋で働く身として、その厳しさはひしひしと身にしみてくる。やはり、ジャンルによって厳しさは変わるのだろうけど、特に厳しいのはクラブミュージック全般だろうか。Banana_record_6 まずは、中古の単価が安く、次に客層的にデータへの移行を苦にしなそうだからだ。 とはいえ、僕が担当するソウル系もやはり厳しいことに変わりは無い。一昨年、去年と高騰していたレアグルーヴのLPもバブルがはじけ適正価格に。  ソウルクラシックは年々売りずらくなっている。やはり、新規参入者が少なく、レコード、CD収集から足を洗う人が多いという全体の流れがあるからだろう。僕は生まれてきて今までレコード屋でしか働いたことがない。ソウルを中心にブラックミュージックに関してはある程度の知識を持っているが、その他には何も専門性は持ち合わせていない。この現状は厳しいが、続けていくのかはたまた違う道へと移るのか考えてしまう…。でも、音楽が好きなことには変わりない。とか、しんみりした話になっても、音楽はまた明日をがんばる活力になってくれるから美しいもの。そんな感じで本日は、Carol Lloydの「Love Carol」をご紹介。

83年、Philly Worldから発表のアルバム。このアルバムに関してのネット上での情報は皆無で、Discogsで調べてみても、前作の「Score」とPhilly Worldからの12inch「Come See About Me / I Just Want To Love You」は掲載されているのだが、本作の情報は載っていない。「Come See About Me / I Just Want To Love You」の12inchはUKプレスしかないという情報が出ていて僕の持ってるLPもUKプレスであることからして、82年に12inchを発表した後に制作され少量出回ったLPなのかもしれない(こんなんよくあるよって感じだったらすいません)。録音はフィラデルフィア、大半のプロデュースを手掛けるMichael ForteはEugene WildeがPhilly Worldから発表したアルバムにも関与している御方らしい。そんな80年代前半のフィリーらしさは本作にも現れている。生楽器を活かしたメロウでソウルフルなアップナンバーにこそそのフィリーの良心が見え、特に抜群の出来なのは"Baby Baby I'm Yours"。流麗なストリングスに後ろで鳴る軽快なパーカッション、そしてなんともいえない込み上げる歌メロに打ちのめされる。主役Carol Lloydも白人ながらそれを感じさせることはなく、なかなかの声量も持ち合わせており十分及第点。中盤ブレイクでのピアノのソロも最高に気持ちいいし、こういう分かりやすいディスコナンバーは掛け値なしに楽しめる。二番手は、似たようなタイプの"Tonight"か。こちらも分かりやすいアップテンポなディスコチューンで、歌メロのつくりがうまいし、ホーンをうまく使った味付けも申し分ない。メロウなミディアム"I Just Want To Love You"も心地よい。この3曲をプロデュースしたのが先のMichael Forteで、競作しているのがBruce Weedenという人。この二人が組んだプロジェクトQのその名も"The Voice Of "Q""という12inchがPhilly Worldで制作されてるようで、そちらも聴いてみたいところ。その他収録曲もEarly 80'sな旨みに溢れ、ブラコンの佳作といえるはずなのだが、いかんせん情報がないのが評価されていない元凶なのだろうか…?これが本作に関してのネット上での初めての情報だと思われるのだが(買いかぶりすぎ?!)、ここから少しくらい有名になってくれたり?!

やっぱ音楽聴きながら、レビュー書いてると、暗い気分もどっかいっちまうね!明日も仕事がんばろっと♪

2011年1月24日 (月)

年間ベスト?!と流線形と比屋定篤子な日

Ryuusennkei_2明けましておめでとうございます。毎年のことながら遅い挨拶で申し訳ございません。まあ、今年はどんな年になるんでしょうかね…っていっても全く変わらない一年であることが4半世紀以上過ぎました。でも、後退する髪の前線におなかのぽっこりと、寄る年波にゃあ勝てませんな。てなことはどうでもよくて、友達のブログをi-phone(ユーザーです。が、アプリ一個も入ってません)で見ていたら、音楽年間ベスト10を書いてました(こちら⇒http://engolo.jugem.jp/?eid=74)。うーん、新録ばっかやん?!

Kings Go Forthは7inchにはまって買ったんだけど、アルバムが出たときに店頭でかけすぎて食傷気味に…。やっぱ、新録のファンクやソウルって飽きやすい気がすんだよね。でも、それをふまえてすごいのが、Lee Fields!こいつの音は本当に当時の空気感が詰まってる。どうしたら、こういった音の質感が出せるのか毎回不思議です。。。Chico Mannはアフロポップみたいでどうもイマイチだが、Hypnotic Brass EnsembleとQuantic Presenta Flowering Infernoはカッコイイ!Illa Jは僕が薦めたのかな。Dam-Funkは僕も心底やられました。電信音の快楽の海に堕ちていく感じがヤミツキに。あれは、現代のMtumeだと思ったね。Welcome Wagonと七尾旅人は僕のジャンル外。東京事変はどう考えてもJ-Popだが、なんか嫌いじゃない。椎名林檎はどう見てもかわいくないんだけど、嫌いじゃないのと一緒か?!と人の年間ベストを総括するという意味の分からない行為に出てしまったので、お詫びに僕の年間ベストも。

1.流線形と比屋定篤子 / ナチュラル・ウーマン
2.Darwin's Theory / S.T.
3.R.Kelly / Love Letter
4.Lloyd Miller & Heliocentrics
5.Zo! / Sunstorm
6.V.A. / Lagos Disco Inferno
7.Madlib / Medicine Show No.10
8.Osumi / Tenho Que Ser Suave...
9.Risco Connection / S.T.
10.Eric Benet / Lost In Time

なんか、新録あり、発掘音源あり、MIXありととりとめもないセレクトですいません。とにかく純粋に聴いて、自分が好きだったものです。プライベートですのでっ!てか、よく覚えてないっす。これに載せてないのでもいいのはあったはず。さて、そんな本日は年間トップにも挙げさせていただいた流線形と比屋定篤子の「ナチュラル・ウーマン」をご紹介。

09年発表のアルバム。出て少したってから仕事先で話題になっていたんだけれど、その頃は気にも留めていなかった。でも、去年の年末に仕事先の仲間が店頭でかけていて、一発でやられてしまったのです…。なんといっても、その極上のメロディに。耳から入ってきて、頭の中から離れていかない。ジャンル的にはシティポップっていわれているけれど、印象ではソウル、AOR、フュージョンなど多くの音楽要素を内包しているように感じる(そもそもそういう音楽がシティポップなのか?!)。ただ、それ以上にポップと言い切ってしまいたい音楽だと思う。それほどに聴く人を選ばない普遍性を持っているのだ。ただし、それは現代のJ-Popにはびこる飾り立てただけのPOPではなく、もっと純粋に培養されたポップ といえる(自生でもないんだなこれが)。培養と書いたのは過去の名曲たちのフレーズ、エッセンスがそこかしこに振りまかれているから。まず、僕が一番最初に気に入った"まわれ まわれ"はTOTOの"Georgy Porgy"をまんま引用、"メビウス"はDeodatoの"Skyscrapers"の印象的なベースラインを拝借と、音楽好きをニヤっとさせる小細工が仕掛けられている(といっても僕は人から聞いて知ったんですが…)。それは、やはり首謀者のクニモンド瀧口氏が以前レコ屋のバイヤーだったところからくるんじゃないかな。やっぱ、古い音楽聴くのも好きっつー。極上のメロウダンサー"サマーインサマー~想い出は、素肌に焼いて~"は、83年の八神純子という御方のカバーだというし、色々な音楽に対しての知識ははんぱないのかも。収録曲はすべていいのだが、個人的な一番はラストを飾るタイトル曲"ナチュラル・ウーマン"。包み込むような柔らかいエレピの旋律に物悲しい歌メロが本当にたまらなくなってしまう。この曲だけでなくアルバム全体を通して若干物悲しい雰囲気が漂うのはメロディのせいなのか、はたまた比屋定篤子のヴォーカルがそうさせているのか非常に気になる。このアルバムの出来に狂喜し、前作に当たる「TOKYO SNIPER」を買ったのだがそこではここにあるようなミラクルは生まれておらず、「いいアルバムなのは確かだが…」というレベルだった。それは、流線形のグループとしての実力がまだまだだったためなのか、比屋定篤子のヴォーカルと絡むことにより完璧な化学反応を生み出したのかは僕の耳では判断することが困難だ。しかし、このアルバムが生まれたことにはただただ感謝するしかない。日々よい音楽を聴いてしまうとどんどんその総量は減っていくばかりという考えを覆すような良質な音楽が生まれ続けているという現状に一筋の光が見えたような気がしたといったらさすがにおおげさか。

このアルバムに盛り上がった当店のスタッフ達には後日談があり、「この音楽は必ずレコードで残さなきゃ」という馬鹿に熱い熱意からレコード化案が勃発。さらにはツテなどを使い本人達とコンタクトをとりレコ化打診してみるとのこと。どうなるかは神のみぞ知るだが、今後の展開に乞うご期待。

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