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2007年7月29日 (日)

青木雄二な日

Photo_1 現代にある芸術は少なからず過去に影響を受けている。それは僕が好きな音楽においては「~に影響を受けた」、「~をリスペクトしている」などと表現される。しかし、過去からの影響という点では漫画も負けていない気がする。それは最近強く感じる。僕は古い漫画も新しい漫画も読むことにしているのだが、新しい作家では昨日浅野いにおを読んだ。クイックジャパンという雑誌で連載を持っていたので興味を抱いたのだが、期待に違わない好内容だった。でも、やっぱり過去の作家(これはその人が古いという訳ではなく、影響を受けた人物以前に作品を発表しているという意味)からの影響を感じた。それは古谷実。そうあの「稲中卓球部」の作家だ。最近では「シガテラ」などで都市部の若者の生活に恐怖感を調合した作品を発表しており、そこに影響を受けてるように感じた(絵にも若干影響あり)。でも、過去に影響を受けることは決して悪いことではない。音楽なんかサンプリングなんつー手法まであることだし。いろいろなところから影響を受け、それを自分の中にうまく吸収して自分なりの作品を作ってもらいたい。でも、今日はワンアンドオンリーな作家青木雄二の「さすらい」をご紹介。

97年発表の短編集。青木雄二といったら、なんといっても「ナニワ金融道」が有名なのだが、あえてこちらを薦めておきたい。それは短編集というかたちなのでとっつきやすく、かつ凝縮された青木雄二が楽しめるからだ。しかし、この男、作品数が極端に少ない。監修で関わった作品や本人作の本は結構あるのだが、単行本された本人名義の漫画は本作と「ナニワ金融道」の2作品のみ。でも、そこには青木雄二の描きたかった”人とカネ”というテーマが十分すぎるほど描かれている。その人間臭さ剥き出しの表現は史上最年長でヒット漫画家にのし上がるまでの苦難の経験の賜物なのだ。それは全編に貫かれている。

この作品の中で最も重要な作品"悲しき友情"のテーマは”観念論と唯物論”。この壮大なるテーマを考えるのは大学の教授、大企業の社長などではなく、ドヤ街の明日も分からぬ若者とおっさん。でも、だからこそリアルになれる。今、自分が生きる世界をどう変えようと考えるのだ。その二人の考え方に関するやり取りが低所得層の生活を通して非常にうまく、面白く描けている。そして、この作品には僕が漫画に求めているものをうまく表している一部分がある。それは「愛に満ち、知性に満ち、明るくて幸せなもの(漫画)を読みたいのですか。僕は暗い方に真理、リアリティーが潜んでいると思います。」というところだ。青木雄二や畑中純の作品を読んでると、「なぜガロにいかなかったのかな?」と思う。でも、最近青木雄二の本を読んで納得が出来た。「ガロの作品は好きで読んでいたが、ガロは原稿料を出さないから、あそこでは描かない」といった類の記述があった。やはり、この世の中は資本主義で成り立っているわけで、理想だけの世界は存在し得ないということだろう(理想は共産主義といってはいるが)。どこまでもカネというものが分かっている人だ。

最近、逆柱いみりの回の検索が多いので、漫画についても書いてみました。やっぱり、漫画も音楽も自分が好きなものを紹介できるってのは気分がいいですな。これからも、どんどん音楽、漫画の名作を紹介していきまっせ。

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