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Hip Hop

2010年4月22日 (木)

Guruを思いながら、Gangstarrな日

Gangstarr Guruが亡くなったらしい…。Gangstarrは高校時代から長く聴き続けてきたアーティストのひとつだっただけに、非常に悲しいことだ。しかし、Gangstarrといえば、なんといってもDJ Premierの作り出す音というのが一般的な見解であり、僕自身もそのように捉えていた。たしかに、あの若干もったりしたGuruのフロウは好き嫌いが分かれるし、万人受けするタイプとは思えない。ただ、Gangstarrといえば、あのPremierの音とGuruのラップというのがパブロフの犬のように刷り込まれているのも、また確かなのだ。華がなかったGuruではあったが、自分の視点は確かであり、人脈も広かったように思える。それは、彼のソロシリーズ「Jazzmatazz」諸作を聴けば、浮かび上がってくるはずだ。初期2作では、ジャズの巨人と作り上げた非常に濃密な"Jazz Hip Hop"が展開され、後期2作ではジャズにこだわることなく多彩なゲストとの絡みで新たな一面を披露しようとしている(「Jazzmatazz II」は素晴らしい傑作だ)。そんな、自分を知る男Guruに思いを馳せながら、本日は、Gangstarrの「Moment Of Truth」をご紹介。

98年発表の5作目。Gangstarr円熟期の一枚で、個人的には彼らの作品の中で一番聴いた作品。たしか、高校のときに友達とブラックミュージックのガイドブックを作ったときもこの盤を紹介したような記憶がある(記憶は不確かだし、現物が無いのだが…)。DJ Premierによる間を生かしたサウンドは完全にマジックを生み出している。それは、冒頭の"You Know My Steez"を聴けば、すぐに合点がいくはず。それ以降も良曲が目白押し。K-Ci & Jojoがゲスト参加した"Royalty"は、Premierらしいネタ使いが光る疾走感溢れる一曲で、サビ部分でのK-Ci & Jojoの歌唱とPremierのスクラッチもはまってる。Big Shug、Freddie Foxxxら男臭い面子が揃う"The Militia"はトラックも非常に男臭くて、熱くてたまらない。やはり、ゲストがいる方が輝きが生まれるのは確か。しかし、今、なんとしても聴いておきたいのは、"She Knowz What She Wantz"。Guru自身がプロデュースを担当し、Guruが一人でマイクを握る一曲だ。甘く切ないエレピのループが曲を印象付け、ストリングスが後ろで哀しい調べを奏でるレイドバックしたトラック上では、いつものPremierの楽曲のときに比べて何倍も生き生きとマッチしたGuruのラップが聴ける。Premierのシリアスでハードな楽曲は、もっと正統派のラッパー(NasやRakim)の方がしっくりくる気がする。もう一曲Guruがセルフプロデュースした"Make 'Em Pay"もレイドバックした雰囲気があり、こちらもよくはまってる。Guruとは、自分のことをよく知っていた男だった気がする。本作の最後の楽曲名は"In Memory Of..."。R.I.P.

2008年2月 8日 (金)

Dread Scottな日

Dread_scott いやぁ、4年間やっていたバイトをついにやめましたよ。最後の1年間はあまり出ていなかったんですが、残りの3年間はフル稼働でしたわ。やめたときは、ちょっとホロっときそうになりました。で、やめた今だからいいますが、僕はレコード屋でずっとバイトしてたんですよね。吉祥寺のレコファンっちゅー店で。だから、これを見てくれている人で、吉祥寺のレコファンに何回か行ったことがあるって人とは顔を合わしたことがあると思います。でも、この4年間はツライこともありーの、楽しいこともありーのな時間だったなぁ(なーんて感慨深げな感じでね)。でも、やっぱり、レコ屋のバイトは音楽好きなら必ず楽しいはずです。小さな店だったし、僕が学生で多くの時間入れるわけでもないということで、査定などの作業はできなかったけど、中古CDを磨いて袋詰めする作業でも、ジャケを見てるだけでも楽しいもんね。あっ、このアーティストはこんなアルバムも出してたんだぁ、とかこのアルバムはもうこんな値段下がっちゃったかぁ、なんて考えながら出来るのも性に合ってる。それに、小さな店の特権で、店で流す音楽を自分で決められるっていうのもよかったなぁ。新譜には限定されるんだけど、ブラックばっか流してましたよ。そんな、レコファンでの楽しかった過去を振り返りつつ、今日はDread Scottの「Breakin' Combs」をご紹介。

94年発表。でも、僕が今手もとにおいてるのは、05年発売の再発盤。オリジナルも持っていたんですが、久々に聴こうと思って、開けてみると中身はもぬけの殻。たぶん、以前聴いたときに、他のCDの中に2枚重ねて収納して、そのまま奥地に去っていったと思われます…。もう、こうなったら、救出するのは非常に困難なため、あきらめ再発盤を購入した次第です。でも、この再発盤には4曲ものボーナストラックが追加されていて、「あら、お得じゃない」ってことでね。よく知られていることだけど、このDread Scottの奥さんはR&Bのカテゴリーでも紹介させてもらったAdriana Evans。本作でも5曲に客演しており、「Adriana Evans」(Dread Scottプロデュース)との関連性を語りたくなってくるところ。実際、関連性は多く、生音を巧みに使ったメロウな音作りという点においては共通する部分を見出すことが出来る。でも、音はやっぱりヒップホップ寄り。だけど、奥さんが客演している曲では、やっぱりメロウな音作りになりこれが美味です(これが発展して「Adriana Evans」につながったことには非常に納得いくなぁ)。ボートラとして追加された夫婦競演の"Remember The Love Rap"、"Candy Man"の出来は素晴らしい。前者のブラジルのリズムの入れ方や後者のメロウな音の中での二人の温かい絡みは素晴らしいなぁ(Kenny Lattimore、Chante Moore以上のおしどり夫婦?!)。もちろん、既存の曲も良くて、またまた夫婦競演のメロウな"Check The Vibe"や熱いヒップホップチューン"Back In The Day"はクラシックでしょう。まあ、とにかく良い盤なんだが、ライナーノーツでもお勉強できました。Dread Scottが生音を使う理由として、「私を含め西海岸の多くの若者は、サンプリングする多くのレコードのコレクションを持つことができなかったから」と言っていた。確かに、西海岸のアーティストは生音を使うアーティストが多いなぁと。Dj QuikにしてもBlack Eyed Peaseにしてもね。いやぁ、でも、Black Eyed Peaseの1stよりも4年も前だからねぇ。かなり早かった傑作です(それにしても"Can't Hold It Back"でのラップがOl' Dirty Bastardそっくりなのはなぜ?)。

レコファンやめた今だからこそ言うけど、レコファンの中古の値付けはちぃと高いわな。でも、一番下のランクの値段帯に結構魅力的な商品が入っていることが多いので、要注意。特にヒップホップやR&Bの90年代の作品では思わぬ掘り出し物がありまっせ。また、輸入の新譜はどこよりも安いと思う。まあ、ちょっとした宣伝みたくなっちゃったけど、それもレコファン愛があるからこそでっせ。レコファン、いいお店です(太田胃酸風のイントネーションでね)。

2007年11月13日 (火)

Brian Greenな日

Brian_green 最近は、音楽、漫画、本などをヤフオクの仕入れとして買うことも多くなった。しかし、やっぱりいいものは手元に残しておきたい。昨日も仕入れを行ったのだが、半分は売らずに置いておくことに決めた(商売人がそれでいいのか?!)。今日の昼は、その中の一枚Brian Greenの「One Stop Carnival」を聴きながら、これも以前買ったやまだ紫の「しんきらり」を読んだ。なんでこんな日記風のことを書くかっていうと、その二つが良過ぎたのだ。Brian Greenの方はレビューで書くとして、「しんきらり」について、少し書こう。主人公は夫と二人の子供を持つ主婦。その彼女の主婦としての生活を描いているのだが、非常にリアルに、そして読み物としての完成度が高く仕上がっている。子供の育て方に関しての考え方、そして今の自分の生活に関しての考え、など非常に興味深いし、自分の親もこんなこと考えながら、育てていたのかなぁ、なんて考えてしまう。こういった内容がある種、詩的に表現され、すらすらと読み進められてしまう。そして、全編を通して、辛いこともあるけれど、つつましく幸せな生活に見える。このマンガが発行されたのは、1982年。まだ、僕が生まれる前の話だ(フィクションだけど)。それから、25年が経った今では、物事の価値観も相当変わっている。それでも、読み終わった後に共感を覚える普遍的な何かがこの漫画にはある。名作です。ってな、漫画レビューを終えて、本題の音楽へ。今日、紹介するのは、先ほども出てきたBrian Greenの「One Stop Carnival」。

96年発表。このジャケだけ見ると、ついにnaffgrooveもネタ切れか、ってな憶測が生まれそうだけど、これは隠れた良盤。まずこのBrian Greenって人の本業は、役者。結構なドラマにも出てたっていう話です。ヒップホップでは、本業以外の人でもShaquille O'Nealなんかが、やってるしね。でも、シャックのよりも数段レベル高いなぁ。それは、ラップのレベルではなく、音作りに関して。本作での音は、西海岸ニュースクールの流れを汲んだものでで、ジャジーなメロウ感が強い。実際にサンクス欄にはBlack Eyed Peas、Pharcyde、Ras Kasといったその流れに属するアーティストが列挙されているし、Will I Am(Black Eyed Peas)とSlim Kid-3(Pharcyde)は実際にアルバムにも参加している。Brian GreenのラップもPharcyde系のゆるい感じが出ていて、悪くない。そんな本作を代表する曲といえば、スチャダラパーの"サマージャム’95"(こっちも、鬼名曲)と同ネタの"That's Right"。このジャジーなレイドバック感のあるネタはBobby Hutchersonらしい(欲しいっ!)。でも、それをこのヒップホップのドラムと絡ませたことが功績でしょ。最高のレイドバックチューンに仕上がってます。でも、スチャのが1年前なんだよね。"That's Right"のイントロは日本人の女の子が関西弁で喋ってるところから入っているから、もしかしたらインスパイアされたのかも(この曲に参加したWill I Amの彼女が日本人だったことも関係あるかも)。他収録曲にもメロウなものが多く、アルバム自体の完成度も相当高い(一貫性もある)。さらに、今のジャジーヒップホップにつながるかのような"You Send Me (Jazz Mix)"といった楽曲も収録している。この曲は、きれいなピアノの旋律と刺激的なドラムが絡み合う最高な一曲。ぱっと聴きは、まさに今のジャジーヒップホップだな。ジャケだけなら、必ず通過してしまうアルバムだが、中身はしっかり詰まってます。今日からジャケ覚えて、あったら買ってくださいな。

いやぁ、いい音楽にいい漫画、最高ですわ。「しんきらり」を読了した後に、色々なブログでどんなこと書いているか見てみたが、どれもいいこと書いてあるんだよなぁ。やっぱり、名作にはみんなちゃんとしっかりとした意見が書かれているもんだなぁ、と感じましたよ。このマンガは本当にいい。今年読んだ中でも、三本の指には入るな(一番かも)。皆さんにも読んでもらいたいすわ。今でも、僕が読んだ「しんきらり」と「続しんきらり」を併せた「しんきらり(全)」がちくま書房から出ているみたいだからね。昼の日差しを浴びながら、ベットの上で、Brian Greenの「One Stop Carnival」を聴きながら、「しんきらり」を読んでください。

2007年10月15日 (月)

KMDな日

Kmd うちは、兄弟仲(弟一人)は結構いいほうで、弟ともよく話す。この前、服の話題になった時、弟が「今日、新宿の店色々回ってみてきたんだけど、ブーツ欲しいのがあって、いくらだったと思う?」って聞いてきたんで、「ん~、2万とか?」って返したら、「4万5千」だって。その日、僕がフリマでめっちゃ悩んで、買わなかったニューバランスの靴は2千5百円だ。話は続いて、弟が「バックも欲しいのあったんだよね。いくらだったと思う?」ってきたんで、「ん~、二万とか?」って同じ返しをしたら、それも「4万5千」だって。その前日、僕がフリマでじゃんけんで勝ってまでして、安値で手にしたバックは2千3百円だ。またまた話は続いて、弟が「ジャケットも欲しいのあったんだよね。いくらだったと思う?」ってきたんで、「ん~、二万とか?」ってまたまた同じ返しをしたら、「うん、2万」だってよ。その日、僕がフリマで買ってきたフライトジャケット、ジーンズ、Tシャツのトータルコーディネートは千5百円だってーの(内訳は1200、100、200)。なんなんでしょ、これ。っつー疑問を抱きながら、今日はKMD「Black Bastards」をご紹介。

94年に一度マイナーレーベルから発売されたもの(当時契約していたElektraは発売拒否)が01年になり出し直されたもの。お蔵入り化した理由は、やはり強烈なジャケットのせい。同時期にメンバーのSubrocが亡くなった。これ以降、KMDのフロントマンであるZev Love Xは仮面を被り、Mf Doomを開始したのだ。Mf Doomのいびつでごちゃごちゃした音ながらも、最高にヒップホップやソウルを感じさせる作風はもうこの頃から片鱗を見せている。この極度にぶっといドラムとベース、時折見せるメロウなネタ使い、これこそヒップホップの極致だとさえ感じられる。そして、この音の悪さ(僕の持っているレコードだと、ものすごくくぐもった音質。再発のCDだと音がクリアなため、むしろレコがオススメ)。これらが織り交ざり、異様なテンションを構築している(同時代の作品に比べ、BPMが速いような気がするが、それもこの世界観を生み出す要因になっているのだろうか)。昔、好きだったのはメロウな"What A Nigga Know?"。メロウとは言っても、ドラムのでかさは健在。最近ではむしろ圧倒的なテンションを誇る"Get-U-Now"、"Plumskinzz (Oh No I Don't Believe It!"、"It Sounded Like A Roc"辺りが好みかな。この音とテンションはすさまじいものがある。今、思ったんだけど、僕が一番好きなヒップホップはMf Doomの作るものだな。このいびつだが、単純なヒップホップにぞっこんだ。

あっ、ヤフオクでジョンブルの登山用ジャンパーみたいのが8百6十円で落札できた。貧乏人は知恵を絞って、買い物するんじゃよ。ふぉっふぉっふぉ。どんどん買い物が老獪になってくるわ。でも、同時に若さはどんどん失われていってるんだがね…。若者のカッコ良さの基準が分かりません。お兄系の服のカッコ良さってなんなんすか?!はぁ…。若者に難癖付ける、っつーのは自分が老いてる証拠だわ。

2007年9月13日 (木)

Dedaな日

Deda 最近、無料動画チャンネルのGyaoとかを見たりするんだが、結構面白いね。よしもとの若手とかが渋谷の無限大ホールでフリートークしてたりすんだが、自分のお気に入りの芸人だとちゃんと最後まで見ちゃったりとか。で、今日、また見てみたんだけど、なんとニュー番組で、板尾創路の音楽番組っつーのが始まってた。やっぱり、ここは板尾ファンとして見とかねばと思い、チェック。番組自体はゆる~い感じで、ゲストもメロン記念日とかいうB級アイドルグループだったんで、たいした盛り上がりも見せなかったんだけど、やっぱり板尾の天然ぶりは炸裂してましたわ。そのメロン記念日っつーのがライブでDJやってて、そこにゲストDJとして参加してくださいよ、みたいなことを板尾に言ってたんだけど、板尾は「DJなんてそんな…」って全然興味ない返しをしてたんだよね。でも、そんな板尾の着ていたTシャツには大きく「スクラッチ」ってプリントが入ってた。めっちゃDJ意識してるやんと(笑)。やっぱ、すごいわ、あの天然ぶりは(てか、もう狙ってるとしか思えない…)。と感心しつつ、今日はDedaの「The Original Baby Pa」をご紹介。

こちらの作品は90年代後期にInIなんかと一緒にお蔵入りになったPete Rockプロデュース作品。正式に発売されたのは03年BBEからのこのジャケットのものになると思う。まぁ、結構なPete Rock狂の僕は本作、INIの「Center Of Attention」の両作品をレコで購入。さらにはこの二枚入りの正規CD「Lost And Found」を購入したのでありました。だって、楽にパソコンに入れたいし、これがなんでお蔵入りになったかとかの経緯を知りたかったし…。っつー私情は置いといて、レビューを。まず、Pete Rockはその当時の一流プロデューサーにしては珍しく、一人でアルバムを総プロデュースするといった作品は自分達名義のものくらいしか残していない。そういった意味でこの2作は非常に大きな意味を持ってくるということが出来るはずだ。アルバム通して聴くと、やはり「The Main Ingredient」の頃の音の質感に非常に近いように感じる。そう、あの温かみを持った上ネタと太いドラムだ。それを思いっきり体感できるのが、"Baby Pa"。このドラムのでかさはヤバイっしょ。そしてこのホーン使い。今のジャジーなアングラが軟弱だと思われてるのには、この時代の音がここまでの完成度を誇っていたからに他ならないのではないだろうか。時代の音を体現した一枚。INIも一緒に入った「Lost And Found」なら今でも中古CDショップに出ているのでは。この2枚入りでの定価が2350円なんて安すぎんぜ、BBEさんよぉ。

しかし、板尾も絶対司会者タイプじゃないよなぁ。ある程度人数がいて、ぼそっとなんか言うのがおもしろい。後は、大喜利とかの発想系。あっ、後、やっぱガキ使の板尾企画はおもしろいなぁ。

2007年7月17日 (火)

Grand Pubaな日

Grand_puba いやぁ、みなさんて自分のお気に入りのレコード屋さんってのはあると思うんですが、どんなところを気に入っているのかなぁ?僕が好きなのは、掘り出し物がある店。もちろんdisk unionとかは必須の店舗なんだけど、それと平行して、あまりメジャーでないレコ屋さんにも行ってみたい訳で。そんな風に探し回っていたときに、僕が見つけた店で一番気に入っているのが高円寺にあるKOKOMOというお店。店長さんと少し話した感じだと、国内と外国からの仕入れと両方を行っているみたい。内容と値段が良心的なのが非常に満足度高いです。全ジャンルあるんだけど、ソウルはNumonicsが入荷していたりと、結構レアなもんまで入ってくる。店のこじんまりしたいい雰囲気と店長さんの人のよさそうな感じがまたいいです。ぜひ、行ってみてください。そして、今日は別にKOKOMOで買ったわけではないGrand Pubaの「2000」をご紹介。

95年発表。個人的な捉え方としては、95年はヒップホップ黄金期の最終章といった位置付け。翌96年にはA Tribe Called QuestがUmahプロデュースとして「Beats, Rhymes And Life」、Dr. Dreがコンピとして「The Aftermath」発表と、新たな音作りに挑戦しており、次の時代への移行期という時代に入ったことがうかがえる。まあなによりもBad Boyが世を席巻し始めたことがいままでのヒップホップに終止符を打ったといえるだろうし。でも、だからこそ95年という年には黄金期最後にふさわしい完成度の高い作品が数多く発表された。例えば、Pharcydeの「Labcabincalifornia」やLord Finesseの「The Awakening」などなど。その中でも一際輝いていたのが本作。サンプリングを使ったメロウなヒップホップの完成形がここに提示されているともいうことが出来るだろう。この時代に完成形を見せられたからこそ、今のジャジーなアングラヒップホップは懐古趣味だと言われてしまうのだ。

全編メロウこの上なく仕立て上げられた本作はまさに「めくるめく甘美な世界へようこそ」とでも言わんばかりだ。それがこのジャケットに写っているださださおっさんの手から生み出されているのだから驚きだ。でも、このおっさんただもんじゃない。90年の時点でBrand Nubianの「One For All」で、Roy Ayersをサンプリングした"Wake Up"という初期メロウヒップホップを手がけているのだから。この考えを自由に形として表現できたのが本作なんじゃないかと、僕は思う。全曲素晴らしいのだけれど、中でもずば抜けてよいのが"I Like It"。ヴァイブの甘い音色、絶妙なドラム、そして鼻歌まじりにラップするGrand Pubaがもう最高じゃないか。"You Are Everything"の替え歌もしちゃってるし。永遠に色あせない名曲です。

最近、黄金期のメロウなヒップホップと今のメロウなアングラヒップホップの違いはなんだろうと考えてみた。僕が考えるには、ラップの力量とドラムの音の大きさ(黄金期>今)に違いが感じられる。アングラによいラッパーが少ないのはしょうがない気がする。でも、ドラムが小さいのはいただけないなぁ。アングラでもFunky DLの"Don't Even Try It"くらいぶっといドラムをもう少し聴いてみたい。

2007年7月 8日 (日)

Sergio Mendesな日

Sergio_mendes 人にはそれぞれ好きな音楽、ファッション、テレビ番組、漫画がある。これはその人が生活していく中で、刻々と変化していっているものだ。実際に音楽という側面から自分を振り返ってみても、小学生時代はJ-Pop、中学時代はパンク、高校初期はロック、それからはブラックと大きな変遷を繰り返している。この音楽というものの好みは友人に影響されるところが多いというのも確かだ。心理学的にいうと、性格というものは生得的なものが50%で、環境的なものが50%だという。好みに関しても、これが当てはまるような気がする。僕が今これだけブラックミュージックにはまったのは高校で出会った友達に強烈な影響を与えられたからだ。きっかけはそこだったが、次第に自分でも調べ探求していくうちに自分の好みというものが形成されていったように感じる。だから友達からの影響(環境)が50%で、自分の探求(生得的資質)が50%みたいなね。割合はあまり考えていないけれど、その二つが密接に関わっていることは事実だと思う。

少し話は変わるが、ブラックミュージックに強烈なインパクトを与えられた後、自分で探した音楽の一つにブラジル音楽がある。今日はブラジルで最も成功した音楽家の一人、Sergio Mendesの「Timeless」をご紹介。

06年発表。プロデューサーはいまや売れっ子の一人、Will. I. Am。そう、Black Eyed Peasのあいつだ。Black Eyed Peasが世の中に出てきた頃は西海岸アンダーグラウンドの一角として、Jurassic-5あたりと一緒に取りざたされていた記憶がある(Will. I. Amの単独アルバムだってレーベルはBBEだしね)。それがこんな一般的になるとは。やっぱり女(Fergie)の力は怖いです。でも昔からセンスを感じさせており、あの時代でファンキーとメロウを両立させることができた数少ないグループの一つだった。一方のセルメンことSergio Mendesもメロウさでは年季の入り方が違う。本作でも再演した"Mas Que Nada"に"Tristeza"や"Batucada"といった永遠の名曲を世界に知らしめてきた御大だ。そんな二人のタッグアルバムが悪いはずがない。ドラムを重くクラブミュージックに対応させたWill. I. Amのプログラミング、そこにメロウに絡み付いてくるSergio Mendesの鍵盤、そしてそこでヴォーカルを取るのはアメリカの一流アーティスト達(John Legend、Q-TipからStevie Wonder、Justin Timberlake君まで)。そりゃ最高でしょ。ブラックミュージック特有の濃厚さってものはないけど、ブラジル音楽のまったり感が非常にうまく表現されていると思う。休日の午前中に聴きたくなるような一枚。

僕がブラジル音楽にはまったのは02~03年くらい。世の中でも「ムジカロコムンド」(ガイドブック)が発売されたり、カフェミュージックとしてのブラジル音楽の需要が高まっていた時期。つまり、ブームに乗せられました(笑)。でも、ちょっとして、少し飽きてしまった。その理由としては上にも書いたように、やはり軽いから。やっぱ濃厚な音楽の方が自分には合うんだな、ということをそのときに再確認した気がする。だからといって、ブラジル音楽が悪いというわけでは決してない。上のレビューを書くときに、Sergio Mendes & Brazil 66の「Look Around」を聴きなおしてみたけど、やっぱりいいもんね。他にもJoao GilbertoやCaetano Veloso、Marcos Valleなんかは素晴らしいと思うし。

2007年7月 5日 (木)

Common Senseを超えたCommonな日

Common アーティストが自分のキャリアの序盤で大傑作を作ってしまった場合、それを超える作品を作り出すのは非常に難しい。特に有名なのがヒップホップ界のNASとSnoop Dogg。彼らはともにファーストアルバムで時代に強烈な印象を残してしまったがために、新しいアルバムが出るたびその1枚目と比べられてしまっている。時々、もう1枚目を超しただろうといったレビューがなされることもあるが、それを僕自身が実感したことはない。二人とも1枚目というものを度外視した場合、良作を次々に出しているとはいうことが出来るのだが…。その1枚目が圧倒的なのだ。でも、それを超した人間がいる。それは、Common。今日は、彼の「Be」をご紹介。

05年発表。通算6枚目にあたるアルバムだ。彼の2枚目、「Resurrection」はヒップホップ史に燦然と輝く、完成度の高い1枚であり、彼がこれ以降この作品を上回る作品を世に出すことは正直不可能だと思っていた。それほどまでにすばらしい内容で、曲も粒ぞろい、アルバム全体の流れも最高であった。その作品を彼は超えることが出来たのだ。

Commonが最初に出てきたときは、ヒップホップ不毛の地から出てきたニューカマーのような捉えられ方であった。しかし、その地でNo I. D.という有能なプロデューサーに出会い、良盤を連発していくことができた。一時はクエストラブなどと組み、ニュークラシックソウル勢とつるんで作品を出していたが、またシカゴの地に戻り、そこでNo I. D.の弟子Kanye Westに出会い、さらなる傑作を残すことが出来た。やはりCommonはシカゴなのだ。あのメロウで爽快なソウルを数多く残してきたシカゴという地にこそ、Commonとベストマッチな音がある。

しかし、Kanye Westという男には感心させられる。この作品を聴くまではそんなたいした男だとは思っていなかった。しかし、この作品、John Legendの「Get Lifted」を聴いて、飛ばされた。メロウな音作りをしつつ、こんなに高度なものが作れるのか、ということに非常に驚かされたのだ。聴いていると、ヒップホップは本当に今までのソウル(特に70年代)というものを吸収しえたのだなと感じた。今までのヒップホップはソウルを利用したヒップホップであったが、Kanye Westの音はソウルを吸収して出てくるヒップホップだと感じた。その最高点がCommonのラップとも絶妙にマッチした本作だ。収録時間43分弱。まさに完璧。曲ごとの説明は不要だろう。21世紀のソウルでもあるヒップホップだ。

いやあ、褒めに褒めました。Kanye Westを。でも、それに値してるよ。それだけ素晴らしい。アングラジャジーヒップホップ連中(それにはそれのよさがあるのはまた確かなのだが)とはレベルが違うな。メジャーでやっていくだけの質の高さがある。

2007年6月18日 (月)

naffgrooveだよっ!A TRIBE CALLED QUES / 「MIDNIGHT MARAUDERS

A_tribe_called_quest_midnight_marauders_3 いやあ、暑いっ!暑すぎやしないか今日この頃。こんなに暑いと、家ん中で、ごろーんとしながらいい音楽でも聴いていたくなるよ。って考えてるみんなにいろいろな名盤から無名盤まで、僕がいいと思った作品を紹介していこう!っつーブログ始めました。

で、その記念すべき第一弾は、A TRIBE CALLED QUESTの「MIDNIGHT MARAUDERS」。「うーん、え~と…」みたく悩んでても、しゃあないんで、手近なものの中から軽い感じでね。一番の愛聴盤ってわけじゃないんだけど、気負わずにここらへんから。

1994年発表、A TRIBE CALLED QUEST 3枚目となる本アルバムは、彼ら自身の一つの到達点であったと同時に、サンプリングミュージックとしてのヒップホップの完成形をみせてくれたものでもあった。ここでの音は1枚目のアルバムで見させてくれたそのセンス抜群でメロウなサンプリングが非常に高い点で融合していると感じられる。また、次作からは、制作陣がUMAHとなり、JAY DEE色強めなスペイシーな音色へと変化することから考えても、既存の路線が一つの到達点に達したアルバムだといえる。Q TIP、PHIFEの語り口も音と非常にマッチしていると感じるし、アルバム全体としても捨て曲なく、まとまりもいい。

しかし、どうしてもこのアルバムが一番だとは言い切れない自分がいる。その理由は、このアルバムがあまりにもまとまりすぎていて、若干の退屈感を抱いてしまうからだ。だからといってこのアルバムをけなす理由はどこにもない。黄金期のヒップホップの代表的な一枚として、万人に進めることができる作品だといえる。

ってな感じで始めました。「おっ、良さそうじゃん!」と思った方は、ぜひご賞味あれ。